栄華の時代が終わる頃。
一室で、衰弱した神が居た。
「ユクシエルさまっ」
「ラファエル…?」
「はい…なんという無茶を…。あのような薄情な生き物を、お助けになるなどっ!」
「…昔のラファエルからは、考えられない者の言い様ですね」
ひゅーひゅーと息をする、神にラファエルは己の力を使う。
けれど、神は衰弱するばかり。神の瞳から、すうと涙がこぼれる。
「私は、神になった事をずっと悔やんでいた。
でも、どれだけの人を不幸にして神になったんだからと、責務にあたってきたけれど…。
ねえ、ラファエル…私は神になってよかったと思った事があるよ。
ラジエルに会えて、この転生界で生きる術も何もかも教わった。
すごく感謝してる…」
神は、ラファエルの背に手を回して力なく抱きしめた。
「それでね、こうして貴方に抱きしめてもらえた・・・。
神は平等でなければいけないけれど、最期は…わがままでも良い。
最期は、人として死なせて…ラファエル、貴方を愛していました…。
生まれ変われるなら、ずっと貴方の傍にいたい…」
ことりと、布から手がはなれて床に落ちる。
「ユク…シ、エルさま?駄目です、死なないでくださいっ!!」
神は、信仰されなければ弱り死に逝くもの…。